795.一昨年のカレンダー(不二塚)
「あれ? 手塚、これ。一昨年のカレンダー?」
「ああ」
「去年のもある。捨てないの?」
「捨てない」
「どうして」
「手帳を持つ習慣が無くてな」
「無いから、何?」
「その年にあったことを思い出すためには必要なんだ」
「……ほんとだ。書き込み、すごいね。でも」
「なんだ?」
「君でも、過去を振り返るんだね。君はもっと、前しか見ていないのだと思ってたけど」
「……忘れたくない思い出の一つや二つ、オレにだってある」
「ふぅん。ねぇ。これより前のカレンダーは?」
「何だ?」
「君が小学生だった頃のカレンダーだよ。どんな生活してたか、知りたいんだ」
「そんなものは無い」
「何で?」
「捨てた」
「捨てた? カレンダーに日程をつける習慣、その頃は無かったの?」
「あった」
「じゃあ、どうして」
「……振り返る思い出など、ないと思っていた」
「そんな君の認識を、青学テニス部が変えたっていうこと?」
「さぁな」
「羨ましいな」
「何がだ?」
「青学テニス部」
「お前もその部員だろう」
「少し、意味合いが違うよ」
「……馬鹿だな、お前は」
「え?」
「カレンダーをよく見……いや、なんでもない」
「何? 手塚。途中でやめないでよ」
「うるさい」
「え。何で赤くなってるの? ねぇ、手塚――」
(2010/11/29)
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