800.味覚に不自由する(蔵飛)
「毒なんて入ってませんよ。幾らあなたの鼻が効かなくなってるからって」
「どうだかな」
「だいたい、そんなことしたってオレに何のメリットもないでしょう? 兎に角、早く風邪を治して欲しいだけです」
「貴様が調合した薬というのが妖しいんだ。何だ、この色は」
「目を閉じてれば分かりませんから」
「そういう問題じゃないだろう」
「だったら、オレが毒見してから。……そうだな、口移しで飲ませてあげますよ。それならいいでしょう? ほら」
「んっ……」
「ね。毒なんて入ってなかったでしょう? 味だって、あなたの味覚に合わせて甘くしたんですよ。といっても、今のあなたじゃろくに味も分からないと思いますが」
「…………」
「飛影?」
「貴様は、俺を窒息させる気か!」
「あ。鼻詰まってるの、忘れてました」
「ったく。……それに」
「まだ何か不満でも?」
「結局、俺に毒を」
「だから毒なんて入ってなっ……。ん。ちょ、っと。飛影?」
「毒」
「え?」
「貴様に返したからな」
「……なるほど、ね」
(2011/03/07)
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