810.選択の自由(蔵飛)
「だから、何で俺がっ……!」
「じゃあ、選ばせてあげますよ」
「何?」
「選択の自由を与えようって言ってるんですよ」
「…………」
「不満ですか?」
「お前は、俺が選んだものに従うんだな?」
「ええ、勿論」
「……だったら、それでいい」
「じゃあ。その一、人間界でオレと暮らす。その二、魔界でオレと暮らす。その三、魔界で妖狐と暮らす。さぁ、どれにする?」
「…………」
「長考?」
「……貴様。なめてるのか?」
「何が?」
「どれを選んでも結局は同じだろう!」
「違いますよ。場所も違うし、姿も違う」
「だが、お前と暮らすという点については同じだろう」
「それは、生きる、と同じくらい当然のことですから。選択のうちに入りません。でしょう?」
「ふざけるな!」
「本気です」
「……却下だ」
「じゃあ、その四。もう金輪際、オレに会わない」
「なっ……」
「オレは人間界で、あなたは魔界で暮らす。……さぁ、どれにします?」
「…………」
「また、長考ですか?」
「……自分が、何を言ってるのか分かってるのか?」
「いいんですよ、オレは。そうやって一生、答えに悩んでいてくれても」
「……貴様」
(2011/01/19
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