823.合鍵(はるみち)※S111話関連 |
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「僕には、くれなかったのにな」 「えっ?」 「合鍵。なのに、せつなには簡単にあげちゃうんだもんな。幾ら前世での繋がりがあるとはいえ、今の僕たちとは初対面だぜ?」 「だって。時空の扉からきて、宿も何もないっていうんですもの」 「だからってさ」 「それなら今からせつなを追い出す?」 「いや……」 「でしょう?」 「……でも、何もキミの部屋じゃなくても。僕の部屋の鍵だって良かったはずだろ」 「駄目よ」 「どうして」 「はるかの部屋の合鍵は、私だけのものだもの」 「…………」 「ね?」 「……なぁ、みちる」 「なあに?」 「それって、逆の立場でも言えることなんじゃないか?」 「私の部屋の合鍵は、まだ貴女の手には渡ってなくてよ」 「……なんか、ずるいな」 「いいじゃない。今日は帰るけれど、せつなに部屋のこと説明し終えたら、私はこっちに泊まるから」 「せつなを一人にするのか?」 「いけない?」 「……いけなくは、ない、けど」 「心配なのね」 「変なところで拗ねるんだな、キミは」 「駄目かしら?」 「……いや。好きにすればいいよ。せつなだって、突然誰かと暮らせといわれても、戸惑うだけだろうし」 「…………」 「え。何?」 「バカ」 「???」 |
(2011/01/07) |
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