829.建て替え(はるみち)
「こんなにでかい家、必要か?」
「だって4人で住むのよ?」
「仮初の家族だぜ?」
「だから必要なのよ。一人一部屋。そうじゃない?」
「……僕は。もう一部屋少なくてもいいと思うけど」
「誰の部屋を削るのよ」
「僕か君の部屋。僕らは、別々の部屋で寝る必要、ないだろ?」
「でも」
「それに。2人で住むには、広すぎる」
「だから、4人で住むって言って――」
「いずれは。せつなは時空の扉の門番として、帰らなきゃならない。ほたるだって、土萌氏の元へ。そうなったら」
「そうね。みんな、いつかは離れてしまうものね」
「そうじゃない。みんなじゃない。君には、僕がいる」
「はるか?」
「だから、ここはいずれ僕たちの、いや、僕たちの新居に一時的にせつなとほたるが住まうと考えた方がいいのかもしれないな。だとすると、こんなに部屋数は必要ないだろう?」
「広いと思ったら、建て替えればいいわ」
「わざわざ狭く建て替える奴、何処にいるんだよ」
「憧れなのよ」
「何?」
「海辺の、白い家。今から建てるには時間がかかるし。ねぇ。いいでしょう?」
「……潮風はマシンが傷むんだよな」
「それが本音?」
「え。あ。……分かったよ」
「本当?」
「ああ。但し」
「なあに?」
「……ガレージは、増設させてもらうよ。それくらい、構わないだろう?」
「ええ」
(2011/06/05)
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