831.石橋を叩き壊す勢い(はるみち) |
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「らしくないな」 「え?」 「慎重すぎないか? いつもなら」 「ろくに調べもしないで突っ走るのははるかでしょう」 「それは、まぁ、そうだけど。それにしたって」 「もう少し、調べないと。ここは敵の腹の中と同じなのよ?」 「ちぇ。折角入学したってのに。ここで足踏みなんてな。……なぁ。あまり慎重すぎても、さ。石橋、叩き壊したら意味ないぜ?」 「……それならそれで、構わないわ」 「え?」 「だって、そうしたら渡らずに済むでしょう? それなら、私はその方が……」 「けど、僕らは渡らないといけない。泳いででも。だろ?」 「……そう。そうだったわね。でも、駄目。まだ、今は」 「ぐずぐずしても逃げられはしないだろうけど。怪しまれでもしたら」 「だったら」 「ん?」 「だったら。普段、学生生活を普通に送っていればいいわ」 「普通、ね。例えば?」 「部活動に入るとか」 「それじゃあ、放課後、調査が出来ないだろ。妖魔が現れても困る」 「じゃあ、だから、私と――」 「君と?」 「……なんでもないわ。考えてみたら、普通じゃないもの」 「何だよ」 「帰りましょう。部活動にも入っていない私たちがあまり長く学園内に残っているのは、普通とはいえないわ」 「……なんだよ、ったく」 |
(2011/06/15) |
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