833.リサイクル(不二塚) |
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「少し考えてみた」 「何をだ?」 「僕の、君への想い。リサイクル出来ないかなって」 「どういうことだ?」 「幾ら僕が君を想っても、君はそれに応えてはくれない」 「当たり前だ。オレはそういう趣味はない」 「うん。そうだね。本当は、僕もそういう趣味はないはず何だけど。まぁいいや。それで、さ。受け取ってない想いを抱き続けるのって、これって結構辛いんだ」 「だったら。さっさと諦めろ」 「それが出来たら、苦労はしてないよ。というか、もう自分の意思じゃどうしようも出来ないんだ。君を好きだって気持ちは」 「…………」 「その想いをさ、そのまま垂れ流しておくのも勿体無いと思わない?」 「垂れ流し……」 「だから。上手くリサイクル出来ないかって思ったんだ」 「リサイクル」 「そう。君の隣にいたいって。ほんの少しだけ方向を変えてみることにしたんだ。向かい合うことが出来ないのなら、せめて隣で、同じ方向を眺めていたいって。そしたら、君への想いは、テニスへの想いに生まれ変わった」 「それで、ここ最近は真面目に練習をしているのか」 「失礼だな。もともと僕は真面目だよ。ただ、本気になれなかただけ」 「それを不真面目だというんだ」 「物事総てに全身全霊はかけられないよ」 「どうだか」 「でも、そう、だから。暫くは。テニスに打ち込めそうなんだ。君の隣に居たいからって動機は不純だけど。それでも、本気でテニスと向かい合える。君への想いが生まれ続ける限りは」 「……つまりは、オレがその想いに応えた時点で、お前は再びテニスに興味を失うということか」 「――え?」 |
(2011/01/16) |
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