841.案内人(蔵飛)
「きっとオレは地獄に行く。でもあなたは、どうなんだろうね」
「地獄に決まってるだろう」
「けど、人間を殺めたことは一度もない。でしょう?」
「それはお前だって同じだろう」
「どうかな。人間界に盗みに入ったこともあるし。覚えてないけど、何人かは殺している気がする」
「ふん。まぁ別に、お前が地獄へ行こうが天国へ行こうが、俺には関係ないが」
「でも、オレには重要なことなんだ」
「何故?」
「あなたを、霊界まで迎えに行きたいから。案内人として」
「……馬鹿馬鹿しい」
「そうですか? まぁ通常はぼたんちゃんのような霊界案内人がその役目を果たすわけだけど。コエンマに頼めば融通利かせてくれると思うんですよ。戸愚呂弟の時だって、幻海師範が案内人になったそうですし」
「だからなんだ。俺には関係ない。案内をしたいなら勝手に――」
「飛影?」
「いや、お前がその役目を担うことは許さん」
「どうして? いいじゃないですか。どうせなら。ともに地獄に行きませんか?」
「お前と心中する気はない」
「だから、オレが先に逝って待ってますから」
「それなら、お前は誰に案内される?」
「え?」
「俺の知らないところで、誰に会うつもりだ。コエンマか? それとも、黒鵺か?」
「……変なところで嫉妬するんですね」
「誰が。ただ、俺は。お前が俺に隠れてコソコソ誰かと会うのが許せんだけだ」
「だからさ、飛影。それを嫉妬と」
「いや、そうじゃない。そこじゃない。大体貴様が俺の案内をするということは、だな……」
「飛影?」
「五月蝿い。とっとと死ね」
「……何、怒ってるんですか? ねぇ――」
(2011/08/02)
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