842.手ほどきを受ける(はるみち)
「ねぇ、はるか」
「何?」
「どうしてあの子たちには聞かれもしてないのにゲームのコツを教えて、私には教えてくれないのかしら?」
「あの子たち?」
「今日ゲームセンターで会った子たちよ。はるかにしては珍しく、妖魔絡みでもないのに自分から話しかけに行った……」
「何だよ。妬いてんの?」
「ごめんなさい。同じ質問には二度と答えない主義なの」
「自分は同じ質問を何度もするくせに?」
「そうよ」
「勝手だな」
「あら。知らなかった?」
「知ってる。……別に。教えたのは何となくだよ。強いて言えば、コツさえ掴めば上達しそうな兆しをみたから、かな。話しかけたのは、僕もあの台、使いたかったし」
「じゃあ、私に教えてくれないのは?」
「君の場合は、上達しすぎて僕以上のスコアを叩き出しそうだから」
「あら。対戦相手を探してたんじゃなかったのかしら」
「意地が悪いな。君は、誰かに負ける僕を見てみたいのかい?」
「はるかは、ズルをしてまで一番になりたいの?」
「ズルって……」
「それに。一度くらいは貴女を負かせて見たいわ」
「……そんなの。いつだって僕は君に負けてるんだけどな」
「えっ?」
「なんでもない。兎に角、みちるには教えられないな」
「どうしてよ」
「どうしてもだよ」
「意地悪ね、もう」
(2011/02/02)
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