844.雪明かり(はるみち)
「何も、夜を照らすのは月だけじゃないんだな」
「えっ?」
「勿論、光源は必要だけど。それは月にも言えること、か」
「……雪。こんなに積もっていたのね」
「どうりで音がしないはずだ。雪が、総て吸収してたんだな」
「明るい」
「外、出るかい? 寒いけど」
「……月、出てるのね」
「すぐに雲に隠れるさ」
「呆れてる?」
「別に。……それより。外に出るにしろ出ないにしろ、ベッドから出てるなら、何か着ないと」
「いつも風邪を引くのははるかじゃない」
「そう。僕が風邪を引いて、君がその看病をする羽目になる」
「願ったり叶ったりね」
「みちる」
「ねぇ。服を着ても、外に出たらきっと寒いわ」
「……ったく。大丈夫。ちゃんとこうしてるから」
「それなら……」
(2011/03/05)
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