851.折にふれて君を思う(はるみち) |
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「また自分の世界に閉じこもってる」 「はるか……」 「なに考えてた? それとも、何も考えてなかった、とか」 「あなたのことを考えていたのよ」 「僕の?」 「そう。今日どれくらい私は、はるかのことを想ったのかなって。それを考えていたの」 「なんだよ、それ」 「……ねぇ、はるか」 「ん?」 「最近、ちょっと隙が多過ぎるわ」 「好き?」 「隙」 「そう、かな」 「そうよ。だって、私に何度も貴女のことを想わせるんですもの」 「……えーっと。それは、何かいけないことなのかな?」 「いけないことだわ」 「何で」 「だって。貴女はそこにいるのよ? 私の目の前に。こうして、触れられる距離に」 「……成る程」 「幾ら私がはるかを愛しているからって。油断しすぎだわ」 「だったら。そういう君だって」 「なあに?」 「最近、集中力を欠いてるだろ」 「どうして?」 「僕がここにいるのに、違うことを考えてるから」 「あら。私ははるかのことしか考えていなくてよ?」 「でもそれは今君の目の前にいる僕じゃない。だろ?」 「……だったら」 「何」 「私が他のはるかを想わないように、もっと集中させて」 「……結局、そこに戻るのか」 「ふふ」 「わかった。負けたよ。僕の負けだ」 |
(2011/03/28) |
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