863.二重底(外部ファミリー)
「へそくりかい?」
「……はるか」
「あのさ。自分の部屋があるんだから、そこに隠せばいいだろ。へぇ、この引き出し、こんな風になってたんだな」
「あの。お願いですから、これは秘密にしておいてください」
「誰にも言わないさ。というか、誰に何を隠そうとしているんだい?」
「というか、これは私が隠しているわけではなくて」
「……僕の、写真? ちょ。こんなのまで。隠し撮り? というか、何。せつな、僕のこと好きだったのか?」
「いえ、だから、その」
「知らなかったな。悪かったよ、君の気持ちに気づかなくて。けど。ごめん、僕にはみちるが」
「だから。これは私のではありませんっ!」
「聞こえてるよ。冗談だって。そんなに息を荒げるなよ」
「……本当にあなたって人はっ」
「で。じゃあこれは、みちるの?」
「ほたるの、です」
「ほた、る……?」
「私たちが時々勝手に部屋に入って掃除をするから。ここに隠したみたいなんです」
「で。君は、ほたるがそうしてまで隠したがってたものを、こっそりチェックしてるってわけか」
「人聞きが悪いですね」
「事実だろ」
「……分かってるんですか、はるか。これがどういうことか」
「ほたるも君と同じで僕を好きだってことだろ」
「私は違いますっ!」
「……青筋立ててまで否定されると、流石に少し傷つくな」
「あ。すみません。って。そうじゃなくて。だから」
「何?」
「この写真を隠し撮りされていると言うことは、この現場にほたるがいたということなんですよ?」
「…………」
「…………」
「……あ」
(2012/12/15)
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