871.純情な狼、企む羊(はるみち)
「なぁ、みちる」
「なあに?」
「まだ、忙しい?」
「ええ、そうね」
「その割には、もう三日くらい、その絵に色を置いてないような気がするけど」
「何かが足りないのよ。後一息なんだけど。何が足りないのか、見つからなくて」
「それなら、気分転換でもしたらどうだい?」
「……気分転換?」
「もう二週間も君に触れてない」
「今触ってるじゃない」
「そうじゃなくて。……分かるだろ?」
「分からないわ」
「みちる」
「駄目よ、はるか。もう少しで終わるから。ね?」
「……ああ」
「あら」
「え?」
「駄目と言われたくらいで諦めるのね」
「いや、だってそれは」
「はるかにはまだ余裕があるということかしら」
「……君には、余裕がないのに?」
「どうかしら」
「なあ、みちる。その絵、本当に仕上がってないのか――」
(2011/07/24)
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