873.在庫確認(蔵飛)
「…………。飛影、オレがいない間に、部屋に来ました?」
「何故そんなことを聞く?」
「冷蔵庫。どうも食料が減ってる気がするんですよね」
「気のせいだろう」
「気のせい、ね」
「……窓を開け放しにしているお前が悪い」
「やっぱり」
「そうじゃない」
「何?
「コエンマが」
「人のせいにするんですか?」
「コエンマがお前の部屋に入るのを視たので」
「あなたも、無断で進入した、と」
「構わないと言っていただろう?」
「まぁ、それはそうですけど。……それは、そのままオレを待つこと前提で」
「何だ?」
「いいえ。それで、どうしたんですか?」
「アイツが帰ろうとしないので、何か妙なことをすると不味いと思って、見張っていたんだ」
「で、どうして冷蔵庫の中身が減るんです?」
「半日もそうしていれば腹が減るだろう?」
「……コエンマと二人で食べたってことですか?」
「まぁ、そうなるな」
「……で。コエンマは?」
「食った後、我に帰って逃げた」
「あなたも逃げた、と」
「俺は用が済んだから、部屋を出ただけだ」
「へぇ」
「……何だ?」
「別に。……じゃあ、もういらないですね」
「何がだ?」
「ご飯。これから作ろうと思って。でも、あなたはもう食べてしまったんですよね?」
「…………」
「さて。ご飯ご飯、と」
「……貴様」
「ん?」
「…………」
「冗談ですよ。そんな顔して、見ないでください」
「…………」



オマケ(その数時間前)
「…………」
「…………」
「帰らないのか?」
「貴様こそ」
「ワシは蔵馬に用事があるのでな」
「俺も同じだ」
「…………」
「…………」
「……腹減ったな」
「ほう。霊界の奴でも腹は減るんだな」
「人間界に下りてくるための体ではな」
「…………」
「飛影?」
「蔵馬のことだ。何かしら食い物があるだろう」
「おい。お前、勝手に……」
「怖いのか?」
「何を言って」
「俺は食うぞ。暫く、帰る気は無いんでな」
「ワシだって、帰る気はない。ワシにも寄こせ」
「……ちっ」
(2011/09/06)
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