877.ぎっくり腰(コエ→蔵飛)
「何故貴様が蔵馬の部屋にいる?」
「その言葉、お前にそっくり返してやろう。飛影、お前は魔界に残ったんじゃなかったのか?」
「おい、蔵馬。いないのか?」
「います、います。はい、コエンマ。背中、めくりますよ」
「おお、すまんな」
「蔵馬貴様……」
「ちょっと飛影、落ち着いて。治療ですよ、治療」
「血の匂いなどせんぞ」
「いつからあなたはそんなに鼻が利くようになったんですか」
「うるさい」
「なんて。血の匂いがしなくて当然です。ぎっくり腰ですから」
「……ぎっくり腰?」
「人間の体は柔いからな。ちと重いものを持っただけでコレだ」
「それで貴様が治療してるのか?」
「ええ、まぁ。このままじゃ、霊界に帰れませんから」
「……そんなことでこの俺が誤魔化されると思うなよ」
「え?」
「おい、飛影」
「うるさい! いいか、蔵馬。コイツの本体など元々実体を持ってなどいない。これは人間界や魔界に実体を持って現れる時のただの入れ物だ」
「……余計なことを」
「でも、今ここで治療しておかないと。結局、またこの体を使おうと思った時に困るじゃないですか」
「何だと?」
「蔵馬、知っておったのか?」
「当たり前でしょう」
「だが、それなら。……コエンマ。さっさとその体から出て、抜け殻を霊界で治療して来い」
「ああ成る程。そういう手もありましたね」
「……とぼけやがって」
「何がです?」
「貴様……」
「じゃあ、そういうことで、コエンマ。悪いけど、霊界に帰ってもらえますか?」
「……しょうがない」
「さっさと行け」
「ったく」

「何故あんな真似をした?」
「何ですか?」
「分かっていたなら、何故さっさと奴を霊界に帰さなかった?」
「だって、あなたが来るとは思わなかったし。来たとしても、そこまで怒るとは思いませんでしたから」
「…………」
「妬いてくれたんですよね?」
「…………」
「さ、じゃあ、今度はあなたの治療をしましょうか。ほら、服脱いで」
「俺は怪我など」
「血の匂い、あなたの体からしてますよ」
「……ふん」
(2011/08/04)
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