879.期限切れの湿布(不二塚)
「あれ? ねぇ、手塚。この湿布、使用期限切れてる」
「だったら捨てろ」
「まぁ、うん。捨てるけど。そうすると、救急箱、湿布なくなっちゃうよ」
「必要なら保健室で貰ってくればいいだろう」
「どっかに試合に行ってる時に必要になったらどうするの?」
「……竜崎先生に行って置く」
「うん。よろしく。……あ。あったあった。はい、絆創膏」
「ああ」
「手、出して」
「自分で貼れる」
「知ってる。でも、僕が貼ってあげたいんだ」
「…………」
「ちょっと、さ。今、マネージャーがほしいかな、って思ったんだけど」
「何?」
「いや、こういう、スコアをつけるのもそうだけど」
「スコアは乾がつけているだろう」
「うん。まぁ、ね。それもそうだけど、こういう部活の備品をさ、管理してくれる人、欲しいなって」
「だったら、定期的にお前がチェックすればいいだろう。面倒ならオレがやる」
「あれ? 手塚はマネージャー入れるのに反対?」
「…………」
「何?」
「……お前は女子にモテるからな」
「あのね。幾ら誰かが僕を好きになったところで、僕には手塚がいるんだから、それは関係ないんだよ」
「オレが、いなくなったらどうする?」
「え?」
「……いや、なんでもない。忘れろ」
「……ねぇ、手塚」
「だから、忘れろと」
「僕、思ったんだけど、って言ったんだよ」
「けど?」
「そう。思ったんだ、けど。でも、やっぱり要らないなって」
「何故だ?」
「欲しいと思った理由はさっき言ったとおり。スコアだとか備品の管理だとか。してくれる人がいたらいいなって。要らないなって思ったのは。やっぱり僕が、君に絆創膏を貼りたいからさ」
「どんな理由だ」
「そういう理由だよ。大怪我ならしょうがないけど。誰でも出来ることなら、他の誰にも君に触れて欲しくないんだ」
「勝手だな」
「僕に言い寄ってくる女子を想像するのが嫌でマネージャーを取りたくないと思ってる人に言われたくはないよ」
「…………」
(2011/07/21)
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