885.特別扱い(周裕)
「裕太、何怒ってるの?」
「別に怒ってねぇよ」
「怒ってる。ねぇ、どうして? 言ってよ。気に入らないところ。直すから、さ」
「……すんなよ」
「えっ?」
「弟だからって、特別扱いすんなつってんだよ。そんなんだから、オレはいつまで経っても、兄貴がいないと何も出来ねぇって言われるんだ。特別扱いなんかされなくったって、オレはオレでちゃんとやれんだよ」
「……弟だからって、特別扱いはしてないよ」
「してるだろ」
「してないよ」
「ふざけんなよ!」
「好きだから」
「あ?」
「弟だから、じゃなくて、好きだから。だから特別扱いしてるんだよ」
「――っ。どっちにしたって特別扱いしてることに変わりねぇだろ」
「けど、違う。意味が違う。僕がいないと裕太が何も出来ないなんて思って、特別扱いしてるわけじゃないんだ」
「じゃあ何だってんだよ」
「好きだから。それ以上の理由は、上手く言葉には出来ないけど。裕太なら、分かってくれるって信じてる」
「……何でオレなら分かると思うんだよ」
「裕太も僕のことが好きで。だからどうしても僕のことを特別視しちゃってるから。兄だから、じゃなく、ね」
「……ばっかじゃねぇの。くっだんねぇ」
「そうだね。くだらないことだよ。だから、いちいち腹を立てることじゃないんだよ」
「…………」
(2011/06/16)
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