886.一種独特の(不二ニオ) |
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「……不二」 「嘘。手塚。何で。だって君はもうドイツに」 「お前に会いたくて戻ってきた。不二。オレは」 「……なんて。手塚はそんなことでは夢を諦めたりしないよ」 「そんなこと、か。不二は自分を軽く見すぎじゃ」 「で? 手塚のフリして、僕に何の用だい、仁王」 「オレのイリュージョンはもうすぐ完成する。そうしたら、オレと付き合ってくれないか」 「もう正体がバレてるんだから、手塚のフリしなくていいよ。というか、バレてるんだから、まだまだ完成には程遠いんじゃない?」 「騙せんのはお前だけじゃ。なぁ不二。いい加減オレと付き合えて」 「僕は手塚一筋だから」 「手塚としてで構わんから」 「……言ってる意味、分かってるの?」 「分かってる。そもそもこの技を作った時点でオレ自身が評価されることはない。なりきることが出来るイコール対象よりオレの方が実力が上ということを、誰も考えん。けどそれでいいと思っとる」 「変わってるね」 「周りがオレを誰と見ようと、オレが観てる風景は同じだし」 「僕が君を手塚として扱っても?」 「オレの目に映る不二は不二だに」 「でもそれは、もし僕たちの間で何かがあったとしても、決して君を愛してるわけじゃない」 「でも仁王としてのオレが愛される可能性はない。だったらオレは……オレは、手塚でいい」 「……変わってるね。本当に」 「不二。好きだ」 「変わってるよ。手塚――」 |
(2012/02/17) |
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