895.意志薄弱な俺を許してくれ(蔵飛)
「どうしてこんなに、オレは意志が弱いんでしょうね」
「……何だ?」
「あなたと、こんな関係を続けるべきじゃないのは分かってるのに。いざ目の前にあなたが現れると、どうしても、駄目なんですよ。……ごめんなさい」
「何を謝る?」
「苦しみを、無闇に引き伸ばすだけなのに。オレは人間として生きるから。いずれあなたとは一緒にいられなくなる。別れることが分かってるのに、互いの愛情を深くしていったって、辛いだけでしょう?」
「……誰だっていつかは死ぬ」
「でも、死んでしまえば、会えない苦しみはなくなります」
「残されたほうは苦しむ。互いか片方かの違いだけだ」
「それでもオレは」
「どうせお前は俺の誘いを断れないのだろう? だったら悔やむだけ無駄だ」
「……随分とした、自信ですね」
「事実を言っているだけだ。第一、お前は傷つくことが分かっているからと言って、自分の欲を押さえつけられるほどニンゲンではないだろう?」
「…………」
「諦めろ」
「…………」
(2012/01/17)
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