910.法則(蔵飛)
「貴様、何故ここにいる?」
「あなたに会うために」
「嘘を吐け」
「現状の何が嘘なんです?」
「……何をしていた」
「これからするところです」
「……雪菜に」
「ああ。別に。彼女、週1回幻海師範の屋敷の掃除をしているみたいで。その手伝いをしていただけです。桑原くんが今日は都合が悪いと言っていたので。そのかわりに」
「ほう」
「疑ってますね」
「それじゃあ何故まだここにいる?」
「あなたに会いたくて」
「何を」
「雪菜ちゃんに会ったあとって、1時間もせずにあなたはオレの前に現れますから」
「……だったら帰っておけばよかっただろう。ここに居残る必要は」
「ここで、あなたに会いたかったんです」
「?」
「今夜は流星群が見れるので。都会じゃ、晴れていても星は余り見えませんからね。……ああ。綺麗な夕焼けですね」
「ふん」
「ねぇ。何かお願い事、しません?」
「断る」
「いいじゃないですか」
「生憎、俺は望むことなんでないんでな」
「それって、今が倖せだってこと?」
「自惚れるな。俺は自分の力で手に入れたいだけだ」
「オレを?」
「知るか」
「じゃあ、願わなくていいですから。星、見ませんか?」
「……貴様がここにいたんじゃ、部屋に行ったところで飯もないだろうしな」
「ええ」
(2011/11/17)
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