914.安全確認(はるみち)
「おはよう、はるか。今日も早いのね」
「ああ。おはよう」
「…………」
「何?」
「朝苦手だと思ってたんだけれど。気のせいだったのかしら」
「え?」
「一緒に暮らすようになってから、朝早くなったわ。そんなに私の寝室から出てくるところをほたるに見られるのが嫌なのかしら?」
「何でそんな風にとるんだよ」
「どうして私を起こしてくれないの?」
「早く起きたって暇だろ」
「貴女は何をしているの?」
「…………」
「はるか」
「……点検、だよ」
「点検?」
「そ。車とか、バイクとか」
「毎日?」
「毎日」
「どうして?」
「安全確認は必要だろ」
「だって。今までそんなこと」
「ほたるやせつなが、いつ隣に乗るかわからないだろ。家族を護るどころか、事故に合わせるわけには行かない」
「……随分と二人のこと、大切にしているのね」
「何拗ねてるんだよ」
「拗ねてなんかないわ。ただ、私だけを乗せていた時はそんなことしていなかったなと思っただけ。それとも、隠れて点検していたのかしら?」
「何だ、そんなことか」
「そんなこと?」
「みちるだって大切さ。けど」
「なあに?」
「君とは、一緒にスリルを感じたいと思ってるから。君もよく言ってるだろ。僕となら、地獄に落ちても構わないって」
「……なによ、それ。そんなの、理由にならないわ」
「そうかな? 君の顔を見る限り、充分だと思うけど」
「もう。……ねぇ、はるか。やっぱり私も一緒に起こして?」
「え?」
「よく言ってるでしょう。私、貴女を見ていると退屈しないのよ――」
(2011/08/25)
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