915.地元密着型(蔵飛)
「何処に行っていたんだ?」
「パトロール」
「は?」
「あなたが魔界に行った時、パトロールを義務付けられているでしょう? それと同じで、人間界に住み着く妖怪にはパトロールが義務付けられたんです」
「……コエンマか」
「しょうがないですよ。人間が何かの拍子に魔界に迷い込むように、人間界に来るつもりもなかった妖怪が人間界に迷い込んでしまうケースもあるんですから」
「逆なら別にかまわんだろう」
「見世物として人間に捕らえられてしまう妖怪もいますし、魔界に戻る方法が分からず自棄を起こす妖怪もいます」
「捕らえられるのはそいつが弱いからだろう。自棄を起こすのは、馬鹿だからだ」
「力の強い妖怪は何かの拍子で人間界に、なんてことは出来ませんから。それに、知能の発達した妖怪は、大抵が強い」
「つまり、弱くてバカな奴ばかりが人間界に迷い込む、と」
「まぁ、直接的な言い方をすればそうなりますね。で、そんな彼らを見つけ出すのが、オレの役目。見つけたら霊界に報告、その後魔界に返す手続きは霊界に総て任せてます」
「霊界の犬になったと言うわけか」
「魔界に、強制送還されるわけには行きませんから。それに……」
「なんだ?」
「ねぇ、飛影。どうしてあなたがそれだけの妖気を纏ったまま人間界に来れるのだと思います? 人間界(こっち)に定住しているわけでもないのに」
「……まさか」
「なんてね。冗談ですよ。ただオレは、この地に長く住んでいる者として、この地を守りたいだけです。人間とか、妖怪とかを抜きにして、ね」
「くだらんな」
「まぁ、定住しないあなたにはそうかもしれませんね」
「…………」
「なんですか?」
「……帰る」
「ちょっと、飛影」
「うるさい」
「訂正します。あなたには帰る場所がちゃんとありましたね」
「そんなもの」
「今日、まだ行ってませんでしたよね。……おかえりなさい」
「……ふん」
(2011/09/05)
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