916.換気は十分に(蔵飛)
「何をしているんだ?」
「換気」
「換気?」
「この部屋、においません?」
「何のにおいだ」
「オレ達の」
「……生憎、オレはお前ほど鼻が利かないんでな」
「でも、あなたに分からなくて、オレだけが感じてるってことは、もしかしたらこのにおい」
「何だ?」
「あなたのものなのかもしれませんね」
「は?」
「ほら、自分のにおいって自分では分かりにくいじゃないですか」
「ふざけるな。俺の何処がにおうというんだ」
「ですよね。ちゃんと事の後にオレが洗ってあげてるわけだし」
「うるさい」
「でも」
「嗅ぐな」
「やっぱり。あなたの匂いと同じです」
「なら、もう来ない」
「ちょっと。待ってください。帰らないで」
「におうのだろう?」
「もういいです」
「何故」
「オレ達のじゃなく、あなたの匂いだって分かったから」
「は?」
「この部屋も、気づかないうちに大分あなたに侵食されてたんですね。そのうちオレの体からも、あなたの匂いがするようになるのかな?」
「……何で嬉しそうなんだ、貴様は」
(2011/09/13)
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