931.寄る年波(はるみち)
「私がオバサンになっても」
「?」
「……海へ、連れて行ってくれるのかしら?」
「えっ。ああ。もちろん。君が望むなら」
「はるかは望んでくれないの?」
「僕はいつだって望んでるさ」
「でも駄目ね。オバサンになってしまったら」
「年を重ねたって、きっと君は綺麗だよ」
「そういうことを言ってるんじゃないわ」
「そうだな。誰にだって老いは来る。でも僕は、どんなみちるでも愛せる自信があるぜ」
「そう」
「え。それだけ?」
「それだけよ」
「ちぇ……。でも、僕が良くても、みちるが駄目なんじゃないか?」
「なあに?」
「夫婦共白髪じゃないけどさ。君が年をとるって事は僕も年をとるんだ。君はそんな僕を連れて海に行けるのかい?」
「はるかは。どれだけ年を重ねても、きっと変わらず恰好いいわ。絶対よ。」
「それだけ?」
「それだけよ」
「……みちるさん、それはだいぶズルいんじゃないかな」
(2011/10/28)
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