938.ひたひたと忍び寄る(はるみち)
「しまった!」
「なによ、急に」
「僕たちは目の前の妖魔ばかりで、背後からの足音に気づかなかったんだ」
「なんなの?」
「……来週、テストだ」
「ええ」
「ええって。ええっ?」
「なあに?」
「君、気づいてたのか?」
「だって、授業でテスト範囲を発表したり対策プリント配布したりしているもの。はるかのクラスだって、そうでしょう?」
「あー……。そうだった、かな」
「もしかして、授業中寝ているの?」
「……ほら、最近戦闘が多いだろ、だから」
「無駄な動きが多いから疲れるのよ。それとも、陸上を辞めて体力が落ちた?」
「育ち盛りなんだよ。あー、今日から寝る間を惜しんでテスト勉強しないとな」
「あら。はるかでもテスト勉強なんてするのね」
「なんだよ。ヤマ張れって?」
「そうじゃなくて。テスト勉強なんてしなくても充分」
「生憎、僕は君と違って何でもソツなくこなせるってわけじゃないんでね」
「私だって、何でも出来るわけじゃないわ」
「へぇ」
「信じてないのね」
「だって実際、何でも出来てるだろ?」
「……甘えるのは、苦手だわ」
「え?」
「はるか」
「な、んだよ」
「私が、勉強教えてあげるわ。どうせ寝てばかりでここ最近の授業内容、頭に入ってないんでしょう――」
(2011/12/08)
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