941.意地を張る(はるみち)
「じゃあ、はるか。また、明日」
「……みちる」
「なあに?」
「淋しいんだ」
「えっ?」
「君がいないと。とても」
「どうしたの、行き成り」
「ずっとそう思ってたんだ。ただ、そういうことを言うのは君の役目だったから。それに、なんか言ったら負けのような気がして」
「負け?」
「君の中の僕に、さ」
「……ばかね。差異があれば書き換えるだけだわ。私はどんな貴女でも愛してゆけるの」
「こんなに甘えたな僕でも?」
「もちろん。かっこ悪いからとずっと意地を張ってたのに、結局根負けしてしまうはるかでも」
「なんかそれ、酷い言い方だな」
「だって、酷く言っているもの」
「意地が悪いな」
「こんな私はお嫌い?」
「いや。面白い、かな」
「愛してはくれないのね」
「僕だって、かっこつけたいんだ」
「充分恰好いいわ。いつも。だから、安心して。そしてたまには。私にも意地悪をさせて?」
「……たまには?」
「たまには」
「分かった。そんな君も愛せるよう、努力するよ」
「……何よ、その言い方」
「仕返しだよ」
「もう」
「さぁ。今まで何もせずに帰っていた分、今日は一晩中付き合ってもらうぜ」
「……気づいていたのね」
「だから、負けのような気がしたって言っただろ?」
「そうね。私の勝ちだわ」
「みちるの?」
「だって私も淋しかったもの」
「……成る程、ね」
(2011/10/22)
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