951.もう一息(外部ファミリー)
「はるか、今日もほたるとお出かけ?」
「ああ。良い天気だし、もう一息だからさ」
「もう一息?」
「ほたる。もう少しで補助輪なしで自転車乗れそうなんだ」
「あの子、そういえばまだ自転車乗れなかったわね」
「こればっかりは経験だからな。体が急成長したからって、練習もなしには載れないさ。知識はせつなに任せてるから、こういったことは僕が教えてやらないと」
「もう、すっかりパパね」
「みちるだってママだろ。はい」
「なあに、その手」
「あれっ? いつもより早く起きてたから、お弁当。作ってくれてるのかと思ってたんだけど」
「……もう。これじゃあちょっとしたサプライズも出来ないわね」
「あはは。わるいわるい」
「ちょっと待ってて、今もって来るわ」
「ああ」
「はるかパパ、まだー?」
「ん? ああ。今、みちるが僕たちのために作ったお弁当持ってきてくれるから。そうしたら、行こう」
「……ねぇ、はるかパパ。約束、覚えてる?」
「勿論」
「本当? 一週間以内に自転車乗れるようになったら、ほたるとデート。絶対だからね」
「あー。うん。忘れてない。忘れてない、けど、ちょっとそれは、みちるには内緒な」
「どうして?」
「僕たちに、やきもち妬くからさ。弁当に毒盛られても、知らないぜ?」
「みちるママ、こわーい」
「分かったら、内緒。な」
「うん。じゃあパパ。ほたる先に車に乗ってるね!」
「ああ」
「……誰も毒なんか盛らないわよ、失礼ね」
「聞いてたんだ」
「聞いてたんじゃないわ。聞こえたのよ。もう。ほたるが本気にしたらどうするの?」
「するわけないだろ。あの子はピュアだけど、馬鹿じゃない。だからみちるも、そんな顔するなよ。デートったって、親子で出かけるようなもんなんだから」
「どうかしら」
「なんだよ。嫌な感じだな」
「ねぇ、はるか。一つだけ約束して?」
「ん?」
「ほたるが自転車に乗れても、御褒美のキスは唇以外にして」
「……なん、だよ。それ。大体ほたるはそんなこと」
「いいから。約束して?」
「分かったよ。ったく」
(2012/01/17)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送