955.徹底調査(蔵飛)
「何処に行っていた」
「別に」
「……手が、冷たいな。死体にでもなったか?」
「冗談」
「こんな蒸し暑い季節に、体が冷たくなるような場所。人間界から邪眼でも見つけられないような」
「へぇ。探してくれてたんですね」
「何処に行っていた?」
「違うセリフは吐けませんか?」
「…………」
「オレを、温めてくれたら教えてあげますよ」
「……ふん」
「えっ?」
「何処に」
「あなたの故郷に」
「……やはりな」
「何をしにいたのか聞かないんですか?」
「聞いてどうなる」
「止めさせる、とか」
「止められるものなのか?」
「あなた次第です」
「……何をしに行っていた?」
「あなたの過去を調べに」
「何のために」
「知りたいから」
「何のために」
「知りたい。それ以外の理由はありません。だから。あなたが話してくれるのなら、オレはもうこんなことは止めますよ」
「……何が知りたい?」
「総て」
「何?」
「正確には、ムクロに見せたものを」
「……嫉妬か。見苦しい」
「何の感情も湧かない心を、美しいと思いますか?」
「行き過ぎればなんだって醜くなる」
「それでも、オレは知りたいんです」
「だったら勝手に調べろ。俺はしらん」
「……それは許可を貰ったと思っていいんでしょうか?」
「知らん」
「それじゃあ、遠慮なく。調べさせてもらいますよ。あなたが忘れていたせいで、ムクロが見ることの出来なかった部分まで。徹底的に、ね」
「……変態が」
(2011/12/08)
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