957.風物詩(蔵飛)
「木の上(こんなところ)で」
「……蔵馬か。何しに来た」
「混ざらないんですか?」
「何がだ?」
「花火」
「あんな脆弱な物。……炎が見たいなら、俺がいつでも出してやるぜ」
「あなたは赤い人間界の炎か、黒い魔界の炎しか出せないでしょう」
「……ちっ」
「ねぇ。折角幻海の家まで来たんですから。こんな所で見ていないで」
「あそこに行けば、見ていられなくなるだろう」
「雪菜ちゃん、ですか」
「…………」
「分かってはいても、やっぱり妬いてしまうものですね」
「……俺は何も言っていない」
「言わなくても分かりますよ」
「ふん」
「羨ましいな、雪菜ちゃんが」
「……もう戻れ」
「え?」
「花火」
「もう少し、あなたと並んで居たいのですが」
「そんなの、いつでも出来るだろう。いいから行け」
「オレが居ると気になって雪菜ちゃん見れません、か」
「うるさい。いいから戻れ」
「はいはい。その代わり、明日はあなたの隣に並ばせてもらいますからね」
「ふん。……お前が隣にいたら、視ていられないだろうが」
(2011/09/09)
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送