960.舐める(はるみち)
「はるか。どうしたの? 指なんか咥えて」
「ん。紙で切った」
「大変だわ。絆創膏」
「大丈夫だよ。コレくらいの傷、舐めときゃ治る」
「何よそれ」
「え?」
「消毒するわ。手、出して」
「大袈裟だな」
「だって。舐めておくだけだなんて」
「……知らないのか?」
「何が?」
「……そっか。君は大切に育てられてきたんだな」
「えっ?」
「にしても。戦闘中はもっと酷い怪我負ってるんだぜ?」
「それじゃあ、傷を負うごとに絆創膏でも貼りましょうか?」
「そうじゃなくて」
「変身を解けばすぐ治るもの」
「この傷だって、すぐに治るさ」
「お願い。私に手当てさせて」
「……分かったよ。って。ちょっと。それを、貼るのか?」
「駄目?」
「いや、だって、随分とファンシーな……」
「嫌?」
「……恰好悪いじゃないか」
「紙で手を切っている時点で、恰好悪いわ。それに。私はそんな貴女が見たいの」
「……なんだよ、それ。……分かった。降参だよ」
(2011/09/20)
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