970.お家騒動(蔵飛)
「はぁ」
「随分と疲れているようだな。会社とやらは面白いんじゃなかったのか?」
「業務自体は楽しいですよ。ただ、ちょっと。派閥争いがね」
「派閥? そんなものに属しているのか?」
「知らないうちに出来てたんですよ。オレを後継者として推す社長側の人間と、それに反対する副社長側の人間と」
「ほう」
「楽しそうですね」
「別に。嫌気がさせばいいと思っているだけだ」
「それで? 自分と一緒に魔界に行けばいいと?」
「そうだ」
「随分と素直ですね」
「嘘をついても無駄だと悟っただけだ」
「成る程。じゃあ、飛影。オレのこと、どう思ってます?」
「さあな」
「あれ?」
「嘘はつかないが、誰も正直に答えるとは言っていない」
「もうそれが答えのような気がしますが」
「うるさい」
「でも。魔界に行ったら行ったで、ムクロが五月蝿そうではありますね」
「どうしてアイツの名前が出てくる」
「あれ? 百足で暮らすんじゃないんですか?」
「ふざけるな。誰があんなところで」
「じゃあ、ねぇ、飛影。結局ここしかないんですよ。オレ達が暮らすのは」
「…………」
「大丈夫ですよ。会社から追い出されたって死ぬわけじゃないんですから。魔界統一トーナメントの時と比べれば、これくらい。どうってことありません」
「なら俺の前でため息をつくな」
「心配してしまうから?」
「…………」
「ああ。嘘をつくのをやめるというのは本気なんですね」
「うるさい」
「本当に大丈夫ですから。帰った時に、あなたが部屋にいてくれれば」
「……じゃあ」
「はい」
「一生疲れていろ」
「あれっ?」
(2011/12/13)
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