981.プロの意地(蔵飛)
「飛影、美味しい?」
「不味かったら一口で捨てている」
「そう。それは良かった。で、どう?」
「何がだ?」
「体、温まってきた?」
「まぁ、温かいものを飲めば少しは」
「そういう意味じゃなくて」
「……何?」
「んー、やっぱり駄目でしたか。魔界の植物を使えば簡単なのは分かっていますが、それだと強すぎて副作用も起こしかねないし。やっぱり人間界の植物にしたいんですよね」
「何の話だ?」
「ああ、媚薬の話」
「……貴様っ」
「ちょっと、そんなコーフンしないで下さいよ。ん? あ。今頃効いてきました?」
「効くかっ」
「ですよね。今日も失敗か」
「おい待て」
「なんですか?」
「今日もということは、貴様もう何度も」
「寒い中わざわざ来てくれたあなたが風邪をひかないよう、体を温めてあげようと思いましてね」
「誰が風邪なぞひくか!」
「そうですか。でもオレは寒くて風邪をひきそうなので。ねぇ、温めてくれませんか?」
「ふざけるな」
「ですよね。やっぱり、媚薬の開発を進めないと。副作用はなく、けれど効果は最大限の、人間界産のものを」
「……もう貴様の出したものは一生食わん」
(2012/02/02)
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