988.専属料理人、兼〜(蔵飛) |
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「幽助の所に行ったらしいな」 「らしいって。どうせ見ていたんでしょう?」 「何をしていた」 「だから。見てたんでしょう? だったら聞く必要もないと思いますが」 「何故貴様が幽助に料理など作っている。あいつは自分で作れるだろうが」 「まぁ、そうですけど。この間、ラーメンを奢ってもらったので。といっても、新作の味見だったわけですが。まぁ、なので、お返しにお昼ご飯を作ってあげようかと思いましてね。もしかして、食べたかった?」 「別に」 「じゃあヤキモチか」 「……だといったら、どうする?」 「否定しないなんて、珍しい。そうですね、どうするっていうわけもないですが。ま、嬉しくはありますよ」 「気楽なもんだな」 「そうでもないんですけどね。ねぇ。それじゃあなたはどうして欲しいんですか?」 「何?」 「オレが幽助に昼食を作っているのを見て。何かしら思いませんでしたか?」 「……別に。ただ、苛立っただけだ」 「そうですか。オレはてっきり、自分以外に料理を作るなと言うのかと思ってました」 「可能なのか?」 「えっ?」 「人間界で暮らしていて。そんなことが可能なのか?」 「それは……」 「不可能なら、願ったって無意味だろう」 「飛影……。ねぇ、じゃあこうしましょう」 「?」 「あなたは、オレ以外の人の料理を食べない。これなら出来るでしょう?」 「そんなもの約束したところでどうなる」 「それで、オレはあなたの専属料理人になれるんです。要は考え方ですよ」 「…………」 「納得行きませんか?」 「当たり前だ」 「じゃあもう一つ。これはオレも約束できます」 「何だ?」 「オレはもう、飛影しか抱かない。妖狐として魔界で生きていた時のことは取り消せないので、生涯通してあなただけというのは無理ですが。これからは、もう、どんなことがあっても」 「……子供はどうする」 「えっ?」 「貴様の母親に孫とやらを見せなくてもいいのか?」 「……それは、弟の秀一が」 「そいつはあの母親の子ではないだろう?」 「けど。あなたがそれを望まないのなら」 「本当だろうな」 「ええ」 「……ふん。まぁ、いい。その誓いを貫き通せるかどうか、ちゃんと見といてやるから、そのつもりでいろ」 「楽しみにしています」 「貴様……」 |
(2012/02/06) |
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