994.リタイア宣言(外部ファミリー)
「最近、随分と大人しくなりましたね」
「なあに?」
「以前ははるかが少しでもほたるを優先するとむくれていたのに」
「なによ、それ。まるで私が子供みたいないいかたね」
「違うんですか?」
「はるかにだから、我侭を言えるのよ」
「でも、その我侭はほたるにも我慢を強いるものですよ」
「だから今は私が我慢してるんじゃない」
「成る程。リタイアしたわけではないんですね」
「リタイア?」
「はるか争奪戦」
「そんなもの……。リタイアも何も、最初から争ってなんかいなくてよ」
「そうなんですか?」
「だって、はるかは」
「初めからあなたのものだから、ですか?」
「違うわ。誰のものにもならないからよ」
「えっ?」
「はるかが私のものじゃなくて、私がはるかのものなの。あの人は風だもの。形のないものを所有することなんて誰にも出来ないわ」
「成る程」
「だから、はるかを捕まえておこうとしている時点でほたるはある意味負けているのよ」
「…………」
「せつな?」
「それなら。少しは簡単かもしれませんね」
「どういうこと?」
「はるかをものにするよりは、はるかのものになった方が。まだ、幾分かは容易いかなと」
「……それ。もしかして、せつな」
「なんですか?」
「……なんでもないわ」
「そうですか」
「ねぇ、せつな」
「はい」
「それなら、私がはるかからあなたを奪ってみせましょうか?」
「――えっ?」
(2012/03/04)
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