「なんか、残念だな」
 鼻歌交じりに部室のロッカーを掃除する彼を見つめながら、僕は呟いた。
「何がです?」
 手を止めて、振り返る。僕は手招きをすると、彼を隣に座らせた。
「大和くんのために、僕が何もやってあげられなかったから」
 彼の手をとり、指を絡ませる。彼は笑みを見せると、手を強く握り返してきた。彼の肩に寄りかかり、眼を瞑る。彼は、子どもをあやすように、僕の頭を優しく撫でた。その手もとり、指を絡める。
「……なーんで、僕は1年生なんだろうね」
「キミがまだ小学生だったら困りますよ。ボクたち、出会えなかったわけですから」
 おどけたように言う彼に、僕はわざとらしく溜息を吐いて見せた。
「そういう意味じゃなくてさ」
「わかってます。でも仕方がないでしょう?1年生は9月まではレギュラーになれない。これは決まりですから」
「……そうだけど、さ」
 悔しい、と思った。最後の試合。シングルス1の彼に出番がまわってくる前に終わってしまって。僕は、ただそれを見つめることしか出来なくて。淋しそうなその背中に、かけてあげられる言葉すら持ち合わせていなかった。いつもは感じない年齢の差を、こういうところで感じる。
「大和くんの為に、僕は1勝もプレゼントしてあげられなかったなんて。悔しいよ。何の力にもなれないなんて…」
「優しいんですね、不二くんは」
 俯く僕に、彼は手を解くと優しく抱きしめた。いつもとは逆だな、と思った。でも、この温もりが心地よくて。僕はそのまま彼の胸に寄りかかった。眼を瞑ると、彼の鼓動を感じる。
「でもね。ちゃんと力になってるんですよ」
 僕の肩に手を置き、距離を作る。僕は顔を上げると、彼を見つめた。
「……本当に?」
「ええ。キミが傍にいてくれるだけで、次への活力が生まれてくるんです」
 僕を見つめ、ふ、と微笑う。僕も微笑うと、彼にキスをした。
「単純なんだね」
 クスクスと微笑いながら、彼の肩に額を乗せる。
「単純なんです。不二くんも、その方が解かり易くて良いでしょう?」
 僕の髪を梳きながら、彼が優しい声で言う。
「……そうだね」
 額を離し頷くと、僕はもう一度彼にキスをした。





引退つったら、大和部長でしょう。
不二ヤマ。好きなんだけどなー。好きなんだけどなー。
同志がいないのよね(涙)
どうせアタシはロンリーさ。
せっつねぇ…。



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