2.秘密(不二塚)
「好きだよ。」
「好きだ。」
 有り触れた言葉ではじまる夜。互いに、秘密を解放する。
「君がこんなに積極的だとは知らなかったよ」
 ベッドにオレを押しつけ、耳元でクスクスと微笑う。その言葉に対する返事として、オレは乱暴に不二の頭を掴むと、唇を重ねた。
 額を合わせ、見つめあう。不二の眼が、しっかりとオレを捉えた。月光を反射して、更に蒼く妖しく光る。
「眼を」
 上がり始めた息で言うと、オレは少しだけ不二を遠ざけた。
「何?」
「眼を、もっと…」
「ああ。君は、この眼が好きなんだよね」
 オレの言葉に、口元だけで微笑う。不二の指が、オレの体のラインをなぞる。耐え切れずに声を上げると、不二の眼は、更に蒼さを増した。魅せられる。その、深さに。
「君だけ、だよ」
 この眼は君しか知らない。2人だけの秘密だよ。
 オレを見つめたままで、不二が呟く。オレも見つめたまま、頷くかわりに、誘うように体をくねらせた。不二の眼が、満足そうに微笑う。
 オレが秘密を見せるたびに、その眼は蒼さを増して行く。その眼が見たくて。
 オレは今夜も。不二だけに総てを曝け出す。
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