7.事情(不二リョ) |
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「ねぇ、先輩。休日だけじゃなくて平日も会いましょうよ」 僕の腕の中。寄りかかるようにして頬をくっつけると、リョーマは口を尖らせた。 「いいじゃない。誰も居ないんだし。好きなこと、好きなだけできるよ」 クスリと微笑い、彼の顎を掴むと、半ば無理矢理にキスをした。 「……首、痛いかも」 案の定、唇を離すと、彼は余韻に浸る間もなく前を向いてしまった。首をさする。 「じゃあ、さ」 彼を下ろし、膝を叩いてもう一度座らせた。今度は、向かい合う形で。 「これなら、首、痛くないでしょ?」 彼を抱きしめ、今度は少し長めのキスをする。唇を離し見つめ合うと、彼は少しだけ頬を赤らめた。その仕草が可愛いくて、愛しくて。もっと強く彼を抱きしめてしまう。 「ちょっ…苦しいよ」 「僕の方が、苦しいよ」 好きになるほどに、苦しくなって行く。僕が休日しかリョーマと一緒に居ないのはその為だ。 何故なのか、よく理解らないけど。会えないでいる淋しさよりも、こうして会っているときの淋しさのほうが辛いんだ。 だったら、この関係を終わらせてしまえばいいのだけど。それは出来ない。リョーマの居ない生活なんて、考えられない。矛盾してる。そんなことは、理解ってる。 「周助?ねぇっ…ちょっ…」 顔を覗き込もうとする彼の頭を掴んで、唇を重ねた。貪るように、何度も、何度も。 「……どう、したの?」 荒い息。もたれるようにして、僕の肩に額をくっつける。その所為で、彼の声はくぐもって聴こえた。 「どうもしないさ。何でもないよ。何でもない」 半ば、自分に言い聞かせるように。繰り返し呟く。 リョーマには、僕の矛盾した気持ちを知られてはいけない。それだけは、絶対に。 「ただ」 深呼吸をし、呟く。肩にもたれたままのリョーマの髪を、やさしく梳いた。リョーマを安心させるように。自分を、落ち着かせるように。 「毎日こう出来ない分、今の時間が凄く愛おしいなって思っただけだよ」 見上げる彼に笑顔を作ると、胸にある苦しさを誤魔化すために、その小さな身体を押し倒した。 |
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