21.YES(不二リョ)
「いいよね?」
 膝の上に座ってるオレを強く抱きしめ、耳元で囁く。季節は夏で。暑いはずなのに、全然そんな感じはしない。密着する体は、温かい、と言うのに相応しい温度。
 そんなだから、俺は断ることは出来なくて。
「……好きにすれば」
 でも恥ずかしいから素直に言葉には出来ずに。呟くと、俺は自分に回されている先輩の手に自分のそれを重ねた。耳元で、先輩がクスリと微笑う。
「それって、YESってことだよね?」
 わざと、息を吹きかけるようにして話す。それがくすぐったくて、俺は身をよじった。途端、先輩の手が離れる。失った体温に淋しさを覚えて。俺は振り返った。それを待っていたかのように、唇が重なる。
「まったく。素直じゃないんだから」
 クスリと微笑うと、赤い顔を隠すために顔を戻した俺を、先輩は強く抱きしめた。
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