34.NO TITLE(不二リョ)
「リョーマ」
 優しい声と共に白い腕が伸びてくる。
 初めて見たときは、とても冷たそうだと思った。
 でも。
「好きだよ」
 俺を抱きしめるその腕は、驚くほど温かくて。
「……うん。俺も、しゅーすけ、好き」
 その膝の上で、俺はすぐにまどろんでしまう。それを感じてか、周助は強く俺を抱きしめるとクスクスと微笑った。
「眠い?」
「………なんか。温かい」
 回された手に、指を絡める。暫くすると、周助の体温が指先から移ってきた。
 舌を噛み、零れそうになる欠伸を飲み込む。
「眠いなら、眠ってもいいよ」
「でも、せっかく…」
「今日は傍に居るから。だから、眠っていいよ」
 包み込むようにして抱きしめると、頬を寄せてきた。ゆっくりと、全身にその温もりが伝わってきて。
「……うん」
 頷くと、俺は体を預けるようにして眠りに落ちていった。
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