104.灰(不二塚+菊大)
「学園祭の出し物、決まったのか?」
「……う、うん。まぁね」
「何だ、その歯切れの悪い返事は」
「確か、不二の所は『シンデレラ』をやるんだったよな。さっき英二が、王子役をやるんだって張り切ってたぞ」
「……ちっ」
「………そうか。菊丸が王子役なのか…」
「手塚?」
「い、いや。何でもないんだ」
「あーっ。もしかして、僕が王子役だったら良かったのになーとか思ってたんじゃない?」
「な、何でオレがそんなこと思わなければならないんだっ」
「惚れ直すから」
「………。」
「違う?」
「……お、オレのことはどうでもいい。それより、お前は何の役なんだ?」
「……僕は」
「ん?」
「灰かぶり姫だよ」
「「は?」」
「だからっ、灰かぶり――」
「不二はシンデレラ役なんだよにゃー」
「英二」「エージ」「菊丸」
「不二、本当なのか?」
「ん。そうみたいだね」
「しかし何故、不二が?」
「女子の希望なんだって。先生に却下されるかと思ったけど、不二は背ぇ低いし色も白いし。下手したらそこらの女子より可愛いんじゃないかってことで、受理されちったの」
「そーゆうことだってさ。可憐すぎるのも考えものだよね」
「……可憐?」
「ん?なに、手塚」
「……いいや」
「そういえば、シンデレラって、本当は継母を釜茹でにして処刑したんだってな。前に読んだ本に書いてあったぞ」
「わーっ、ちょっと、大石」
「……へぇー、よく知ってるじゃない。それで、何が言いたいのかな?大石秀一郎くん」
「い、いや…特に何も」
「待て。菊丸が王子で不二がシンデレラってことは…」
「まぁ、二人で踊ったりすることになるかにゃ。至近距離で見つめあったりね」
「「なっ…」」
「手塚、僕、英二に襲われたらどうしよう」
「何言ってんだ。お前が襲われるわけな…」
「英二、気をつけろよ。いつ不二が襲ってくるか理解らないからな」
「わーっ、だから、大石。しーっ」
「……大石くん。言いたいことがあるならはっきり言ってくれていいんだよ?」
「べ、別におれは何も…」
「そう?じゃ、僕が英二を襲っちゃっても良いんだね?」
「「って、不二!!」」
「……え?」「…手塚?」
「…………あ。」
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