119.宇宙(不二リョ)
「不二先輩って、星見るの好きっスよね」
「うん。スキだよ。星って言うかね、宇宙がスキ」
「……そんなんの、なにが面白いんスか?」
「面白い、かぁ。難しいなぁ。……なんていうかな、理解らないところが、スキ。かな」
「はぁ!?」
「だから、さ。宇宙って理解らないことだらけじゃない。理解らな過ぎて、疑問さえ浮かんでこないくらいに。そういうのがね、なんかスキなんだ。宇宙だけじゃないよ、深海とかもさ、最近やっと深海までカメラが潜れて、太陽光の届かない所にも生物はいるんだってことが理解ったみたいだけど、でもそれだけだし。なんかね、色々考えるって言うか、想いを巡らすのが楽しいんだ」
「……妄想好きなんスね」
「はは。まぁ、一言でいっちゃうと、そうなるのかもね」
「オレは興味もてないっスね。理解んないことなんて。オレは理解ること、事実以外には興味ないっスよ。だって、考えても理解んないんだったら、考えるだけ無駄でしょ」
「でも、考えてみたら意外と理解ってくるかもしれないよ?リョーマはただ考えるのが面倒臭いだけでしょう」
「うるさいっスよ」
「ま、なんてこと言ってても、例外はあるけどね」
「例外?」
「そう。理解りきってることなのに、凄く興味あること」
「……例えば?」
「そうだね、例えば……『リョーマが僕のことをどれくらい好きなのか』とか」
「………っ」
「ね。これは理解りきってるんだけど、興味のあることだよ。勿論、リョーマ自身にも興味あるけどね。ねぇ。リョーマは、僕のことどれくらい好き?」
「オレは…」
「『オレは』?」
「……さっきから言ってるじゃないっスか。オレは理解らないものには興味が持てないんスよ。だからアンタには興味がな――」
「じゃあ、リョーマは僕に多大なる興味を抱いてるってことだね」
「……何でそうなるんすか。オレはアンタの考えてることなんて全然理解んないっスよ」
「でも、僕がどれだけリョーマを好きか。それは理解ってるんだよね?」
「…そりゃぁ、まあ」
「だったら、それで充分だよ。リョーマは充分に僕のことを理解してる」
「なんで?」
「だって、それが僕のスベテだからね」
「……恥ずかしい奴」
「ふふ。ねぇ、リョーマ。顔、真っ赤になってるよ?」
「…………」
「ねぇ、リョーマ」
「うるさいっスよ。バカ周すっ…」
「ねぇ、キスしてもいい?」
「……もうしてんじゃん。バカっ」
「うん」
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