136.高いところ(不二乾)
「いーぬいっ」
「っ!?」
 勢いをつけて俺の背中に飛び乗ると、不二はクスクスと微笑った。しっかりと俺の背中にくっついたようだから首は絞まらないですんだが。
「不二、重い」
「トレーニングだと思えば気にならないよ」
「……暑い」
「離れてても暑いんだから、同じだよ」
「……そうだな。………ん?」
 同じではないんじゃないか?
「気にしない、気にしない。そんな細かい男は嫌われるよ」
「それがデータを取るということだ。言いから、降りてくれないか?バレるぞ、俺たちの関係」
 溜息を吐き、不二の手を解いてみる。しかし、不二はその小さな体のどこにそんな力があるのか、どう頑張ってもその手は解けなかった。また、溜息を吐く。
「大丈夫だよ。だって、英二だってこういうこと皆にしてるんだからさ」
「英二はキャラだからな。しかし、不二は違う」
「じゃあ僕も、今日からそういうキャラになるよ。皆に抱きつけば良いんでしょう?」
「なっ…」
「なんてね。冗談だよ」
 絶句した俺に、不二は耳元でクスクスと微笑った。かかる吐息に、頬が紅くなる。
「しかし、どうしたんだ、いきなり」
「ん?」
「だから、その…だ、抱きついてくるなんて」
「ああ」
 何だそんなこと、と言いたげな口調で頷くと、不二は俺の頬に自分のそれをくっつけてきた。
「乾の見ている世界を見たくてさ」
「……は?」
「こうすれば、乾と同じ目線で世界を見れば、もっと乾のことが理解ると思ってね」
 ふふ、と微笑い、俺の頬にキスをすると、不二はあっさりと手を離した。俺の前に回り、紅い顔に、また微笑う。俺は咳払いをすると、持っていたデータノートで不二の頭をポンと軽く叩いた。
「いったー」
「何言ってるんだ。ただでさえ俺の思考は不二に筒抜けなのに、それ以上理解ってどうするんだ」
「そうだなー……全面的に、乾を支配しようかな」
「…………。」
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