138.うっかり(不二ジロ)
「フジっ。あーそーぼっ」
「慈郎クン……」
「今日部活休みだって聞いて、校門(ここ)でずっと待ってたんだぜ」
「そう。それはご苦労様でした」
「へへ」
「でも、ごめんね。僕はキミとは遊べないんだ」
「えーっ、なんでだよ。いいじゃん。何か用事あんの?」
「別に、これといって用事があるっていうわけじゃなんだけどね」
「だったら良いじゃん。あそぼーよ。オレ、ラケット持ってきてるからサ。試合しようゼ」
「うーん。なんていうかな。あのね、慈郎クン」
「んあ?」
「僕とキミはこれといった関係はないんだ。一度対戦したって言うだけでね。なのに、何でそんなヒトと僕が一緒に遊ばなきゃならないんだい?」
「一度対戦したら、それで充分っしょ。それにオレ、フジが好きだし」
「キミが好きでもねぇ…」
「えっ。フジってば、オレのこと嫌いなの?うわー、ショック」
「あはは。嫌いじゃないよ」
「じゃあ好き?」
「だから、そういう感情を持つまでの関係じゃないってこと。理解った?」
「……うん。なんとなく」
「じゃあ、もう帰っていいかな。折角の暇なんだから、こんなところで時間を取るわけには行かないんだ」
「じゃあ、ユーイギに使おうゼ」
「ん?」
「だからっ。これからオレと友達になんのっ!いきなり恋人はムリだろうから、まずは友達から。なー、いいだろー?」
「………まぁ、恋人になる可能性はないけど。友達だけならいいよ」
「マジ?マジ?」
「うん。まあ、慈郎クン面白そうだからね」
「やったー!じゃあ、今日から友達。なっ。だからオレのこと、慈郎クンじゃなくて、ジローって呼んでくれていいから。オレも、フジのこと名前で呼んでいい?」
「名前…か。そうだな、名前で呼ぶヒトは余りいないけど。まあ、イイよ。じゃあ、よろしくね、ジロー」
「おうっ!よろしくな………っと」
「ん?」
「わりぃ。オレ、フジの下の名前しらねぇ」
「全く。試合の時、名前確認しなかったの?」
「だってオレ、直前まで寝てたし。名前覚えんの苦手だし」
「まぁいっか。僕の名前は不二周助。ちゃんと憶えといてよ」
「不二周助…シュウスケ。オッケー、覚えた!」
「本当?」
「ホントホント」
「じゃあ、遊びに行こうか、ジロー」
「おうっ!行こうゼ、シュウスケ!」
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