150.姉妹(不二塚)
「ねぇ手塚。何でそんなにそわそわしてたの?」
「な、何だ?」
「だから、部屋に入るまでの間。キョロキョロしちゃってさ。家族にはもう僕たちの関係バレてるんだし、誰が居ても関係ないでしょう」
「…………それは、そうなのだが」
「何?」
「な、なぁ。お前に歳の近い…姉とか妹とかいないよな?由美子さん以外に」
「うん?何でそんなこと訊くの?」
「いや……この間、由美子さんを街で見かけたとき…なんだ、その…隣に、お前に良く似た女性がいたんだ。由美子さんにも似ていてな、その、姉妹のようだったから。少し気になってな」
「はっはーん」
「……何だ」
「さては、手塚その子に惚れたな?」
「…………っ。そんなわけ無いだろっ!」
「焦ってる。怪しいなぁ。第一、手塚が他人に興味を示すなんて、気に入ったから以外に有り得ないもの」
「違っ」
「えーんっ。僕というものがありながらー。非道いよー。あんなに気持ち良くさせてあげたのにーっ。手塚は僕よりも女のこの方が良いんだー。えーん」
「だ、だから違うって。その…確かに可愛いとは思ったが…だからそういうのではなく」
「じゃあどういう意味なんだよー」
「……お、お前に似てたから、ちょっと……気になっただけだ。だからっ、オレが不二を好きでなければ、彼女にも興味を抱くこともなく、だな」
「あはは。必死だよ。嘘泣きくらい見抜いてくれなきゃ」
「………なっ」
「あのね。その女の子、僕知ってるよ。知りたい?」
「……………別に」
「拗ねないの。本当は知りたいくせに」
「別に知りたくないと言って…」
「それね、僕なの」
「…………は?」
「だから、僕」
「……アレが、不二?」
「うん」
「どういう意味だ?」
「ひょんなことから姉さんと話しが盛り上がっちゃってさ。僕が女装して街を歩いてみたら姉さんと姉妹に見えるかな、って。一緒に街を歩いてるとさ、カップルに見られることはあっても姉弟に見られることってそんなにないんだよね。だったらいっそのこと、女装してみたらどうだろうってさ」
「……だからといって」
「姉さんが男装するわけにはいかないからしょうがないよ。胸あるし、髪だって切れとは言えないしね」
「いや…そういうことを言っているのではなく、だな」
「でも、そっかー。手塚が惚れるくらいに僕は美人だったんだ。じゃあ、今度からデートする時は女装してあげよっか。んでそのまま襲っちゃったりとか。ねぇ?」
「……………」
「手塚?」
「そんなことしたら、別れるぞ」
「なーんて言って、実はまた女装した僕を見てみたいとか思ってるんじゃないの?」
「別に…」
「あ。そのとき撮った写真あるけど。いる?」
「………………………………………………もらう」
「莫迦」
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