191.ヒナタ(不二リョ)
「……何、やってんすか?」
「ほぁら」
 理不尽な買い物から帰ってきた俺の問いかけに答えたのは、その腹にべったりと這いつくばっているカルピンだった。
「もしかして、マジ寝?」
「ほぁら」
 カルピンがカラダを反転させる。と、そのまま落ちてしまった。慌てて腹の上に戻り、今度は丸くなる。それでも、下敷きになってる先輩はピクリともしなかった。
 あまりにも動かないから、死んでるのかとも思ってしまうほど。
 でも、耳を寄せるとちゃんと寝息は聞こえてくる。
 こんな暑い日に、ガンガンに陽のあたる廊下で、よく眠れるもんだ。それは、先輩の腹の上で寝てるカルピンにもいえることだけど。
 それにしても。寝顔だけは可愛いもんだ、と思った。起きてるとき、というか、特に眼を開けてるときはカッコイイというより怖いとすら感じることもあるのに。
 ってか、考えてみると、先輩の寝顔なんて殆んど見たこと無いんだよな、俺。夜は俺の方が先に寝ちゃうし、朝は先輩が俺を起こすって感じだし。
「へぇ。こんな顔して寝るんだ」
 改めて、その寝顔を見つめる。周助、と呟くとその口元が緩んだ気がした。起こさないように、そっと唇を重ねる。
「I love you.」
 ポツリと、そんな言葉が零れた。もう一度キスをし、先輩の隣に横になる。
「Me too.」
「――え?」
 突然聞こえた声に驚いて振り向くと、寝惚け眼で俺を見つめる先輩がいた。
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