192.のんびり(不二切)
「暇っスね」
 寝転がって本を読んでる僕の上に十字に圧し掛かると、彼は言った。
「何言ってんの。自分で言ったんでしょ。今日はのんびりしたいってさ」
 少し重かったけど、気になるほどではないから。僕は構わずページを捲りつづけた。僕の視界に、彼の腕が入ってくる。
「確かに言ったっスけど。オレは不二サンとのんびりしたいんスよ」
 僕の手から本をとると、立ち上がり、それをクローゼットにしまってしまった。せめて、しおりを挟んでくれたら助かったのに。まぁ、あの本を読むのは三度目だから、いいんだけど。
「ねぇ、不二サン」
「うん?」
「しません?」
 言って、仰向けになった僕の上に跨ると、彼は深く口付けてきた。シャツをたくし上げようとするその手を掴み、体を離させる。
「駄目」
「何で」
「だって、のんびりじゃなくなるからさ」
 勢いをつけて、彼との位置を反転させる。期待に満ちた眼差しをする彼に僕は触れるだけのキスをすると、ベッドから降りた。クローゼットからさっきの本を取り出し、ページを捲る。
「不二サンってばぁ」
 甘えたような声を出すと、彼は後ろから僕に抱きついてきた。本を取り上げることはしなかったが、その代わりに首筋に顔を埋めてくる。
「しょうがないな」
 呟いて、本を閉じる。
「いいんスか?」
 クローゼットにそれをしまっている間に、彼はベッドの上に戻っていた。そのキラキラとした眼に、思わず微笑う。
「だって、したいんでしょ?」
 ベッドに座り、頬に触れる。素直に頷く彼に、僕は深く口付けた。そのまま、彼の体を押し倒す。
「まぁ、あれだよね。さっさと終わらして、二人でのんびり余韻を楽しむって言うのもありだよね」
 クスクスと微笑いながら、彼の服を脱がす。
「でもそれって、さっさと終われば、の話っスよね。オレは無理だと思いますけど」
「うん。僕も、そう思うよ」
 ニッと微笑って言う彼に、僕も同じ笑みで答えると、僕たちは激しいキスを交わした。
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