君が僕の気持ちを投げ捨てるのなら。 僕はそのガラクタのような想いを掻き集めてキョウキに変えてやる。「このガラクタよりも、僕の想いのほうが劣っていると?」 彼を無理矢理ベッドに押し倒すと、僕は言った。触れるだけのキスをし、首筋へと舌を滑らせる。 「こ、こにあるものはっ。俺にとっては全て大切なものだ。お前のその邪まな気持ちの方が、俺にとってはガラクタだ」 感情を押し殺した声で言うと、彼は僕の髪を掴んで体から離させた。倒れた時にずれてしまった眼鏡を直そうとする。 そんな余裕は、与えない。与えてなんかやらない。 彼の手から素早く眼鏡を奪うと、声を上げようとした彼に深く口付けた。 「めっ…」 やめろ、という声ごと舌を絡めとる。 僕の髪から手を離した彼は、変わりに肩を掴んできた。叩いたり爪を立てたりして、何とか僕を引き剥がそうとする。 でも、僕はそれくらいの抵抗は効かない。そんなこと、彼の方が良く理解っているはずだ。何て言ったってデータマンなんだからね。僕の想いを見抜くほどの。 そんなに嫌か?何がいけない?単純に抱きたいと想うことはいけないこと? 彼の手を片手で束ね、ベッドに押し付ける。睨みつけてくる彼にニヤリと笑うと、僕はまたキスをした。 隠していたんだ。ずっと。別に、いけないことだと思ってたわけじゃない。でも、断られるような気はしてたから。こんな風にはしたくなかったから。出来ることなら、もっと優しく…。 でも、もう遅い。 気付かれた。見抜かれた。そこまでは良かった。 「乾が悪いんだよ」 避けられた。あからさまに。目すら合わせてくれなくなった。僕が近づくとデータデータと呟きながらビデをカメラを手にどこかに消える。そんな毎日。こんな役に立たないガラクタどもに、僕の想いは投げ捨てられた。 ガリ、と彼の唇を噛み切る。滲み出てくる血液を舐めとると、吐き気がした。その味を打ち消すように、もっと深く、舌を絡める。 片手でボタンを外そうとしたけど、上手くいかなくて。仕方が無いから、僕は彼のシャツを無理矢理引き裂いた。唇を離し、首筋に舌を這わせる。さっき彼に止められたところを過ぎると、僕は彼の肌に噛み付いた。跡を残すように、強く吸う。 「っはぁ」 「何だ。乾もその気があるんじゃない」 体をビクつかせた彼に、ふ、と微笑う。ギリ、と彼が歯軋りをしたのが分かった。構わず、舌を胸の突起に向かって進める。 「あっ」 既に尖り始めていたそこを押し潰すようにして舐め上げると、彼はまた声を漏らした。赤い顔で僕を睨みつけながらも、抵抗を止める。 「抵抗、しないんだ」 「……どうせお前には敵わないからな」 「さて。どうだろうね。君のガラクタ(データ)はあてにならないから」 本当に、あてにならないよ。 僕の気持ちを折角見抜いたのに。その対処法を誤るなんてね。まぁお蔭で、僕はこうして君に立ち向かうためのキョウキを手に出来たわけだけど。 「まぁいいさ。抵抗しないのなら、好きにさせてもらうから」 再び感情を押し殺し始めた彼にクスリと微笑うと、そこに有りっ丈の負の感情を塗りつけるように、僕は彼に噛み付いた。
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