202.隠れる(不二切)
「っ」
 屋上へ続く階段を半分まで上がったところ。廊下からの死角。その壁に不二サンのカラダを投げつけると、そのまま荒々しいキスをした。
「……赤也?どうしたの?」
 口元から伝い落ちる唾液を拭おうともせず、いつもの笑顔で訊いてくるから、余計に腹が立つ。
「越前リョーマ」
「ん?」
「アイツと、隠れてイチャツいてませんでした?」
 抵抗するきは無いみたいだけど。念のため、オレは不二サンの手首を掴むと、壁に押し付けた。ふふ、と不二サンが目を細めて微笑う。
「それは誤解だよ」
「何が誤解なんスか。オレはこの眼でちゃんと見たんスよ」
「知ってたよ。だから、誤解だって言ってるの」
 ふふ、と無気味に微笑いオレの手から逃れると、不二サンはオレの肩を掴んだ。そのまま、カラダの位置を入れ替え、オレを壁へと押し付ける。
「キミがこそこそと僕たちのコトを見てたのは知ってるよ。だから、僕とリョーマは隠れてたやってたわけじゃない」
「……オレに見せるのが目的だったってことっスか?」
「悔しいなら、こんな所まで僕を連れて来ないで、リョーマの前で堂々と僕を奪えばいいじゃない」
 クスリと微笑うと、不二サンはオレがしたのよりも荒々しいキスをしてきた。
「出来ないよね。リョーマはあれでいて僕にベタ惚れだから。キミが堂々と僕を奪おうとするのなら、彼もそれなりのコトをしてくるだろうし。そうしたら、僕は迷わずリョーマをとるからね」
 僕は犬派じゃなくて、猫派だから。首筋に息を吹きかけるようにして言うと、不二サンはそこに噛み付いてきた。思わず、甘い吐息が漏れる。
「まぁいいや。今は、まだどちらかを選ぶつもりは無いから。安心してよ」
 そう言って獲物を追い詰めた獣のような眼でオレを見つめると、不二サンは噛み付くようなキスをした。
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