203.イーーーッ!!(不二菊)
「不二のバカっ。絶対俺のが勝ってるっての」
「残念だけど。僕の勝ちだよ」
 体を裏返し、触れるだけのキスをする。英二は顔を真っ赤にすると、僕の手をつねった。
「痛っ」
「にゃんだよっ、こんな時に。不二のバカっ。イーッ、だ!」
「イーッ、て…ねぇ」
 随分と子供じみた怒り方だな。
 再びベッドにうつ伏せになって足をばたつかせ始めた英二に、僕は微笑った。
 まぁ、子供じみた、なんて。人のことは言えないか。そもそも、僕たちはまだ子供だし。
「ごめんね、英二」
 ねじくれた英二の機嫌を戻す為に、僕は極力優しい声を出すと、その頭を撫でた。ぶぅ、と英二の口から息が漏れる。
「謝るってことは、不二が負けを認めるってことだよにゃ?」
「ううん。それは駄目」
「じゃあ、なーで謝るんだよ」
「だから、僕が勝っちゃってごめんね、ってことだよ」
 膨らんだ彼の頬に、ちゅ、と音を立ててキスをする。
「うーっ」
 悔しいと言いたげな声を上げると、彼は更に赤くした顔を枕に埋めた。
「ね。英二もそう思うでしょ?僕には敵わないってさ」
 見えてる耳に、ふぅ、と息を吹きかけて微笑う。くすぐったいのか、英二はもぞもぞと耳のあたりを肩で擦った後で、顔を上げた。赤い顔で、あーあ、と溜息をつく。
「わかったよ。俺の負け。あーあ。絶対俺の方が不二を好きだと思ったのににゃ…」
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