208.自分の死んだ後(不二幸)
「君が先に死んだとしたら、きっと僕はすぐに次を見つけるだろうな」
 俺の手を握ると、不二は笑顔を浮かべたままでさらりと言った。不満そうに見つめる俺の、眉間にキスをする。
「不二はそうやっていつも俺を不安にさせるんだな」
「まぁね」
 意地の悪い笑みを見せると、不二は俺をベッドへと押し付けた。クスクスと微笑いながら、首筋に強く吸い付く。
「っ」
「だって、ヒトの想い程変わりやすいものは無いからね。それは、君が生きていたとしても同じ。今日はお互いに好きでも、明日はそうだとは限らない」
 シャツのボタンを外し、次々に痕をつけていく。
「不二はっ。毎日そんなことを考えているのか?」
「そうだよ。今日も幸村が僕のコトを好きでいてくれるのかな、どうしたら明日も好きでいてくれるかなって」
 顔を上げると、不二は触れるだけのキスをした。俺の髪を、優しく撫でる。
「安心していいよ。俺はずっと不二を好きだから」
 その不二の手を取りそこにキスをすると俺は微笑った。けれど、不二は首を横に振った。
「そんな安心、いらないよ」
「……何故?」
「安心したら、サボっちゃうかもしれないじゃない」
「何を」
「君を愛することを、さ」
 クスリと微笑いながら、何でもないように言ったけど。その言葉に、俺は一瞬にして顔が赤くなってしまった。
「だから僕は幸村に安心をあげないんだ。僕と同じように、君にもいつも全力で僕を愛して欲しいからね」
「………よく、そんな恥ずかしいこと…」
「まぁ、愛ゆえに、って感じかな」
 恥ずかしくなって顔をそむけようとした俺に、不二は言うと、逃げられないように顎を掴んで深く唇を重ねてきた。
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